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オーバム プレスリリース



PCCW – サービス融合による成功例か?

2010年6月2日

固定電話から携帯電話への変遷期にあたり、PCCW(PCCW Limited:電訊盈科有限公司)の固定電話事業は、既存の通信事業諸企業と同じく厳しい競争に直面しています。しかし、PCCWは安定した固定電話加入者の基盤を維持しながら、収益をうみだす他の事業分野においても成長を続けています。PCCWの成功の原動力となっているのは、同社のサービス一元化戦略です。

香港を拠点とするオーバムのアナリスト、シェリー・ホワン (Sherrie Huang) は「PCCWは固定電話事業から撤退せず、「eye」というブランド名の新しい革新的なサービスに投資しました。これは企業全体の事業成長を図るために固定電話加入者数の維持だけでなく、こうした顧客をもっと高い料金体系のサービスに移行させようという意図があるためです」と解説しています。

PCCWでは、この「eye」サービスを、家族全員のためのライフスタイル・サービスと位置付けています。2007年に開始された「PCCW eye」は、マルチメディア機能を搭載した固定電話を通じて音声、SMS、インフォテイメント(娯楽情報番組)、そしてライフスタイル・アプリケーションを提供しています。そのアップグレード版「PCCW eye2」は2009年にサービスを開始し、ユーザーはタッチスクリーン操作の家庭用ポータブルデバイスを通してnow-TVやミュージックビデオなどのコンテンツにアクセスできます。競合企業が同様の戦略で芳しい結果を出せずにいるなか、PCCWの「eye」サービスは、顧客の定着率を向上し、月間電気通信事業収入(ARPU)向上に貢献しました。ホワンは「この成功の主な要因はPCCWのブロードバンド、テレビ、電話、ワイヤレスの4つのサービスを組み合わせて提供する「クアッドプレー・ソリューション」、事業の明確な位置付け、サービスの優れたカスタマイズ機能、そしてたゆまぬイノベーションにある、と言えるでしょう」と分析しています。

総合的に見て、PCCWは秀でたテレビ関連サービスと充実したクアッドプレー・ソリューションに加え、革新的な端末機器とカスタマイズ可能なアプリケーションを併せ持っています。これらの利点に加え、加入者およびARPUの維持・向上のために、複数サービスを組み合わせたるサービス・パックや複合サービスを提供し、新たな財源を積極的に模索しています。

PCCWが提供する複合サービスは、「now-TV」 や「MOOV 」(PCCWのオンライン音楽サービス) などのコンテンツとアプリケーションで、4つの配信プラットフォームに対応しています。PCCWは別個のプラットフォームにおいてコンテンツとプレイリスト(音楽プレイリストなど)の同期化をサポートし、それらを一つの契約で管理しているほか、パッケージ・サービスではかなりの割引価格を提供しています。

PCCWの複合サービス戦略の成功は、財政面と共に運用効率に表れています。複合サービスの加入者は急速に増加しており、また複合サービスのARPUは概して個別サービスのARPUよりもはるかに高いため、固定電話事業による収益安定、課金制テレビでの増収にもつながりました。「eye」サービスの月額料金は通常の固定電話料金の2~3倍となっています。

とはいえ、競合状態が加熱している香港市場では、PCCWは今後の成長には課題があります。たとえば、HSPA+サービス提供を既に開始したCSLは、今年度LTEサービスも開始予定です。また、HKBNは100Mbpsの FTTHサービスの販売促進に力を入れています。「PCCWがこうした激しい競争に耐えて市場における現在の地位を確保するには、サービスのさらなる融合とイノベーションが要求されます」と、ホワンは分析しています。そこでPCCWでは、「eye2」に人気のインターネットアプリケーションを追加する、さらには近い将来、携帯とインターネット機能の統合も視野に入れた「eye3」のサービスを開始するなど、今年度後半に複合サービスのさらなる充実を計画しています。

しかし、事業を継続しながら、いずれの市場にも多数の加入者を抱えた状態で、複合サービス提供に必要なサポートシステムの変更やアップグレードを実施するのは非常に困難です。「その上、ネットワークのアップグレードや構築に加え、組織の最適化、手順やシステムの整備も必要です。困難ではありますが、これは長期的な成功を目指すために避けて通れないステップです。また、PCCWは、もう一つやっかいな問題を抱えています。今日の厳しい経済状況にあって収益を上げ続けるために、厳しいコスト管理と同時に、投資とのバランスをいかに保つかが鍵となります」と、ホワンは結んでいます。

PCCWがこれまでの投資で獲得した現在の市場における地位をどう維持するか、また、新たな収益源をどう開拓するかは、通信各社にとっては絶好のケーススタディとなるでしょう。

以上



脚註

*オーバム企業分析レポート「PCCW: convergent service strategy (PCCW: その複合サービス・ストラテジー)」

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