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オーバム プレスリリース
テレコムのイノベーションは危機的状況か
2010年6月23日
ここ2-3年、通信機器ベンダーは収益の平均13-14%の研究開発 (R&D) 投資を続けていますが、ベンダーに対するベンチャー キャピタル (VC) 投資額は減少しつつあると、データモニターグループ(英文社名:Datamonitor 本社:英国)のICTに特化したリサーチ・アドバイザリ・コンサルティングの事業会社オーバム(英文名:Ovum)による最新レポート(注*)において述べています。
VC投資額の減少にもかかわらず、テレコム関連の特許申請はいまだ増加傾向にありますが、VC企業には、通信機器ベンダーはソフトウェア、アプリケーション、そしてサービスでの差別化が必要という認識も高まってきています。「市場におけるこれらの認識は正しいのですが、VC投資額とベンダーの研究開発費の間に広がるギャップは、イノベーションを失速させる恐れがあります」と、オーバムの主席アナリスト、マット・ウォーカー (Matt Walker) は述べています。
オーバムが今回の調査対象とした主要テレコム企業10社における年間研究開発費の収益における過去3年間の割合は、平均13-14%の範囲で変動しています。中国ベンダーのHuawei(華為科技)と ZTE(中興通信)は平均を下回る約9-10%でしたが、ジュニパー、ノキア・シーメンスネットワーク (NSN) 、エリクソンでは平均をはるかに上回っています。
「携帯キャリアの値崩れと果敢に攻める中国ベンダーによって、マーケットの統合やコスト削減のプレッシャーがこのところ起こっており、欧米の主要ベンダーの中には人員削減や設備縮小に追い込まれている企業が多数現れています」と、ウォーカーは報告しています。「結果、将来的にR&Dの対収益比率は低下する可能性があります。しかし、主要ベンダーが見落としがちな、市場の流れを根本的に変える可能性のある革新的なビジネスに、VCが投資する傾向にある点です」と続けています。
通信機器ベンダーに対するVCのサポートはここ数年間で後退が進んでおり、2008年第3四半期までの一年間では18億2000万ドルであったのに対し、2009年第2四半期-2010年第1四半期ではわずか11億8000万ドルと落ち込んでいます。したがって、主要10社の社内研究開発支出の割合で見ても、VCの対通信ベンダー投資額は、2008年第3四半期の5.6%から、2010年第1四半期には4.0%を若干上回るだけという程度まで低下しました(図参照)。通信会社は、成功を収めたスタートアップ企業との連携やそうした企業の買収、あるいは単なるコピーによって、イノベーションの内製化を行いますが、現在の状況は、この内製化に非常に大きいリスクをもたらすと見られます」。
2009年度 通信機器ベンダーR&D 支出 対 ベンダー向けVC投資: 総額302億ドル
社内研究開発・VC投資の後退を受け、予想されるのは以下のようなダメージです。
- 新技術導入の遅れ
- 製品の市場投入よりも標準化プロセスに傾倒してしまい、独占的製品の投入に対する回避傾向の発生
- 革新的な製品カテゴリーの差別化の減少
- 魅力的なターゲットの不在による、M&Aの鈍化
マット・ウォーカーの考えでは、中国ベンダーは現在、他社の弱点を利用しようと機会を窺っており、「欧米のVCやベンダーが他に目を向けている隙に、イノベーターとしての地位を確立したい中国ベンダーは、それを実現してしまう可能性があります」と、述べています。インテル、マイクロソフト、モトローラ、グーグルなど、多数の主要IT企業を真似て、自らベンチャーファンド立ち上げを考える可能性もありますし、そこまで行かなくとも、欧米競合企業の予算緊縮や倒産により、そのしわ寄せを受けた地域に新しいR&D施設を開設することも考えられます。実際、華為科技は今年4月、カナダのオタワ近郊カナタ市に新しい研究開発センターを建設すると発表しました。これは、ノーテルやその関連企業での経験をもつ経験豊かなエンジニアを雇い入れる意図によると思われます。
以上
脚註
**オーバム 報告書「Is Telecoms Innovation at Risk? (テレコムのイノベーションは危機的状況か)」
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オーバムのシニアアナリストで本レポート執筆者オーバムの主席アナリスト: マット・ウォーカー (Matt Walker) が、ご質問・お問い合わせにご対応させていただきます。
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オーバム (Ovum) は、英国に本社を置く総合市場分析企業 データモニター (Datamonitor) のICTに特化したリサーチ、アドバイザリ、コンサルティングの事業会社です。オーバムは世界 11 ヶ所(本社含む) に拠点を持ち、150名のアナリストがテクノロジー、マーケットレンド、ビジネス、そして政策や規制を踏まえた 予測・分析・リサーチを行ない、情報を提供しています。オーバムは客観的かつ中立的な視点から最適なアドバイスと分析情報を提供し、お客様の戦略立案と意思決定をサポートしています。オーバムでは、通信・テレコム、IT、マーケットトレンド、特にビジネスとテクノロジーの双方の視点で市場を予測・分析しております。このリサーチ情報をベースとして、世界各国の150名のアナリストが、お客様の課題解決、ビジネスやテクノロジーにおける意思決定に役立つアドバイス情報を提供。個別のご相談にもアドバイザリサービスにて対応いたします。
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